3リットルの海からひとつまみの塩~五感で感じる、いのちと防災のワークショップ~ - NPO法人こうのさと 祝福されるまちづくり

親子防災リーダー

3リットルの海からひとつまみの塩~五感で感じる、いのちと防災のワークショップ~

朝10時、参加者が集まってきました。今回のテーマは「塩作り」。日常的に使っている塩が、実際にどうやって作られるのかを体験するワークショップです。

はじまりのあいさつ 〜塩、つくったことある?〜

講師は「竹林のスコレー」代表、片岡徹也さん。

開始直後、片岡さんが参加者に問いかけます。

「塩を作ったことがある人?」

……ほとんどが未経験。

「じゃあ、塩を食べたことある人?」

……今度は全員が元気に手を挙げます。

「塩は毎日口にしているけど、どうやってできているかは知らない人が多い。今日は、その塩を自分たちの手で作ってもらいます。」

自己紹介と熱中症予防の話

軽く自己紹介を終えた後、夏の屋外活動で大切な「熱中症予防」についての話へ。

「人の体は約60%が水でできていて、子どもは約70%。この水を保つには、塩やミネラルが欠かせません。」

視覚的なイラストで「体の中の水分」の様子を示し、子どもたちの理解も深まります。塩が生命にとって重要であることを、身近に感じられる導入になりました。

塩のお話が終わったら、チーム分けし、塩作り開始です!

今回は「血液型別」にAチームとBチームに分かれて活動開始。

塩づくりスタート!〜チームで挑戦〜

チーム分けが終わったら、さっそく作業に入ります。

海水を鍋に入れます。3リットルの海水が300mlになるまで、煮詰めます。

なかなか火がつかないため、子どもたちも大人も一生懸命、力を合わせて火おこしです。

おくどと釜を使っての「塩炊き」。薪を焚べ、じっくり煮詰めていく作業です。スタッフが火加減を見守りながら、参加者たちは交代で薪をくべたり、釜の中を覗き込んだり。うちわで仰いだり。

火の近くは暑く、汗が額を流れるほど。でも、不思議と誰も文句を言いません。

大人も子どもも一緒に力を合わせ、無事火がつきました!

次は、海水を煮詰めている間に、「塩分濃度当てクイズ」開催!

0.5%、1%、2%の塩水を味見し、「人間の体液に最も近いのはどれか?」をチームで考えます。

「しょっぱい!」「これはパスタの茹で汁くらいかな」と

Aチーム、Bチームに分かれて、答えを考えます。今回はAチームが勝利!

体の中の“しょっぱさ”を舌で感じ取る、楽しくて学びのある実験でした。

鹹水(かんすい)から塩へ

塩分が凝縮されてきたら、コーヒーフィルターを使って一次濾過。

煮詰めて、煮詰めて、「鹹水」へ

〜目に見える「変化」が楽しい〜

しばらくして、釜の中の水分が徐々に減り始めると、参加者たちはその変化に目を輝かせます。

「最初は水だったのに、泡の感じが変わってきた…!」

「なんだかとろみが出てきたような…?」

これは「鹹水(かんすい)」と呼ばれる状態。海水を煮詰めていくと、だんだんと塩分が濃くなり、やがて白い結晶が現れる直前の状態になります。

このタイミングが、塩作りのなかでもとても大事なのだと、徹也さんが教えてくれました。

煮詰めていくと「鹹水」と呼ばれるとろみのある液体になります。

この状態を見極め、再度濾過し、フライパンで炒り、水分を飛ばしていくと……

ついに白い結晶「塩」が現れます!

「わあ、ほんとうに塩ができた!」

その瞬間、参加者たちから感嘆の声が上がりました。

副産物として出てくる「にがり」も、今回はみなさまと分けてお土産に。家で豆腐作りにも挑戦してもらえるよう、資料も配布されました。

完成した塩で、おにぎりタイム!

完成した塩を使って、みんなでおにぎりを握ります。かよみんが炊いてくれたご飯に、できたての塩をひとつまみ。自分で握った塩おにぎりに、そうめんと味噌汁も添えられ、自然の中でみんなで囲む昼ごはん。火を起こし、塩を作り、おにぎりを握る──自分で塩作りを体験した後の食事は格別でした。

参加者の声(一部抜粋)

  • 「塩を作るのがこんなに大変だとは思わなかった」
  • 「3リットルの海水から少ししか塩が取れないのにびっくり」
  • 「おにぎりが最高においしかった!」
  • 「にがりも持って帰れるのが嬉しい。豆腐作りが楽しみ」

おわりに 〜塩という“いのち”の粒〜

スーパーで買えば安価な塩。しかし、今日手で作った塩には、火を起こしから、みんなで協力して作り上げた塩です。塩は「命を支えるミネラル」子どもたちにとっても、大人にとっても、これからの日常で“塩の見方”がきっと変わるはずです。

「つくる・感じる・食べる・分かち合う」そんな時間が、これからの暮らしの中に、静かに根を下ろしていくことを願っています。

今回、塩づくりを行なった防災親子リーダープロジェクトは、年間通しての講座になります。

竹からつくる流しそうめん台づくりも行いました。

9月には、親子でチャレンジできる小屋づくり講座、10月は竹の遊具づくりなどもあります。詳細は下のボタンからご確認ください。